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自傷行為に対して

自傷行為について(ブログ引用元)

同じサイトから引用3つ目です。イライラへのカルシウム、聴覚過敏に対するマグネシウムなど、試したくなります。出典: https://www.autism.com/tran_ja_doc12

自閉症の身体的症状の治療

ステファン(スティーブン)・エデルソン博士

 自傷行為は、発達障害を持つ人が見せる最も痛ましい行為の1つです。 最もよく見られる行為は、頭を打ちつける、手を噛む、過度に体をこすったり、掻いたりするというものです。自傷行為を行う理由は、生物化学的な理由から社会環境における理由まで様々です。この論文では、自傷行為の様々な理由を述べ、その根本的な原因に基づいた対処法を解説します。

機能分析

まず、機能分析では、その個人の自傷行為を詳細に記述し、行為とその人の身体的そして社会的な環境の状態の関連性を予想します。(Wacker, Northup & Lambert, 1997を参照) 機能分析で得るべきデータは、誰がその場にいたか、その行為の前後に何が起こったか、いつ起こったか、どこで起こったかなどです。これらの問いに対する答えが自傷行為の理由を明らかににしてくれるかもしれません。

 

データ収集を行う前に、どの自傷行為の分析を行うか決定しておくことが大事です。機能分析では、分野別(自傷的な行為)ではなく、1つの具体的な行為 (手首を噛むという行為)に焦点を当てます。複数のタイプの自傷行為を1つの行為としてまとめて対処すると、各々の行為に対するそれぞれの理由を見極めることが難しくなるからです。(Edelson, Taubman and Lovaas, 1983を参照) 手首を噛むという行為は欲求不満に対する反応かもしれませんし、一方、過度に体を掻くという行為は自己刺激の1つかもしれません。

 

データ収集を行う間、自傷行為の一般的な特徴、たとえば、頻度、長さ、深刻度が記録される必要があります。また、その人の体の状態、または社会的な環境に関する情報も考慮すべきです。物理的な環境のデータには、たとえば場所(教室、カフェテリア、校庭など、またはライトの種類(自然の光、蛍光灯、白熱灯など)、騒音(芝刈りの音や子どもの叫び声など)などのデータが必要です。そこにいたすべての人のデータ、たとえば教師、親、スタッフ、訪問者、学生または患者など誰がいたかという情報も必要です。他に必要なデータは、何曜日の何時に起こったかという記録です。

 

自傷行為を行う身体的な理由

 

生物医学的な理由

研究者の中にはある種の神経伝達物質のレベルが自傷行為と関係があると提唱する人がいます。ベータエンドルフィンは脳に内因する麻薬のような物質ですが、自傷行為がエンドルフィンの生産、および/または放出レベルを上昇させるという考えです。結果、麻酔のような効果を体験し、その行為に及んでる間、表面上、痛みを感じないことになります。(Sandman et al., 1983) さらに、エンドルフィンの放出は、人を陶酔したような状態にします。この説明は、オピエート受容体(塩酸ナルトレキソンや塩酸ナロキソンなど)の拮抗作用をブロックするドラッグが自傷行為の軽減に役立ったという研究 (Herman et al., 1989)によっても支持されています。

 

動物実験への研究や人間への薬剤使用の研究でセロトニンのレベルの低下やドーパミンのレベルの上昇が自傷行為と関連があることが示唆されています。(DiChiara et al., 1971; Mueller & Nyhan, 1982) 

Greenberg と Coleman (1976)は精神遅延を持つ無差別の国籍の人々に対する研究でセロトニンのレベルを減らす目的でレセルピン, クロルプロマジンというドラッグを使用し、自他へ向けられた攻撃的な行為が著しく増加したことを観察しています。また、ドーパミンの量を引き上げるアンフェタミンやアポモルフィネといった薬剤も自傷行為を発生させることが観察されています。(Mueller & Nyhan, 1982; Mueller et al., 1982)

 

興味深いことに, Coleman (1994)はカルシウムの量が低い自閉症の子どもたち(hypocalcinuria)の研究をしましたが、これらの子ども達は目をつく行為を頻繁に行いました。カルシウムのサプリメントを与えるとこの行為は実質的に軽減されました。加えて、言語能力も進歩したのです。

 

何を見るべきか 自傷行為が生物医学的な異常と関連がある場合、その人の体の状態、または社会的な環境と自傷行為の間にほとんどまたは全く関係がありません。そして自傷行為は様々な状況で起こり、その場にいる人も異なります。しかし、自傷行為と同時に行うことができない行動をしているとき、たとえば食べたり遊んだり、作業をしているときには自傷行為は減少します。

 

介入法  生物医学的な体の状態を正常化するため栄養補助食品や医学的な介入を行ってもいいでしょう。これらの方法で深刻な問題行動を減少させることができるかもしれません。セロトニンの量を増やしたり、ドーパミンの量を減らすために薬剤がよく使用されます。しかし、サンディエゴにある自閉症研究所(ARI)は 何千人という両親たちから子どもにビタミンB6、カルシウム、および/または DMGを与えたという報告を受けており、これらの両親たちはしばしば劇的な自傷行為の減少、またいくつかの例では自傷行為の消失などを観察しています。また、グルテン/カゼイン抜きダイエット、または子どもがアレルギー反応を起こす特定の食べ物を除去するという制限つきの食事療法を始めるとすぐに問題行動が減少したという報告も受けています。

 

てんかん発作 自傷行為は前頭葉と側頭葉のてんかん発作とも関係があります。(Gedye, 1989; Gedye, 1992) てんかんと関連があると思われる行為は頭打ち、耳をたたく、および/または手を噛む、あごを打つ、顔や腕を掻きむしる、またはひざと顔をくっつけるなどです。これらの行為は無意識に行われるので、本人が行為を自制する手段が必要な場合もあります(腕をしばる、など)。てんかん発作は、子どもが青年期になって起こったり、より顕著になったりすることもありますが、これはおそらく、体内のホルモンの変化によるものでしょう。

 

何を見るべきか てんかんが原因の自傷行為は無意識に行われるものなので、その行為と環境の関連性は観察できないでしょう。しかし、ストレスはてんかんを引き起こす可能性があるので、環境におけるストレス要因と自傷行為には関連性があるかもしれません。たとえば、過度な物理的な刺激(光の種類、騒音など)、および/または社会的な刺激(叱責、要求など)などです。食べ物もてんかんを引き起こす可能性があります。(Rapp, 1991) もし、自傷行為が青年期に始まったり、悪化するようであれば、てんかん発作の可能性を考慮すべきでしょう。もしてんかんが疑われるようであれば、EEG (脳波検査)を行うことが推奨されます。

 

介入法 てんかん行為をコントロールするために薬剤が用いられますが、 ひどい副作用が出る可能性があります。一方、DMGは副作用を伴わずにてんかんを減少できるかもしれません。(Gascon et al., 1989; Roach & Carlin, 1982)

 

遺伝 自傷行為は レッシュ・ナイハン症候群(Lesch-Nyhan Syndrome), 脆弱X染色体(Fragile X Syndrome)などいくつかの遺伝的な障害に共通して見られるものです。これらの遺伝的な障害はある種のタイプの構造的な欠陥や生物医学的な障害と関係があるため、これらの遺伝的な障害は自傷行為を引き起こす可能性があります。

 

何を見るべきか レッシュ・ナイハン症候群を持つ子どもたちは口の周りや指をよく噛み、脆弱X染色体を持つ子どもたちもしばしば自分の体を噛みます(唇、指など)。コルネリアドランゲ症候群(Cornelia de Lange Syndrome)を持つ子どもたちもよく自己を噛んだり、顔をたたくような行為を行ったりします。

 

介入法 栄養補助食品や薬剤など生物医学的な介入がこれらの障害を持つ子どもたちへの治療法のようです。また、この論文で議論されている他の介入法も役立つかもしれません。たとえば、行動修正法によって子どもたちがこれらの行為をどう抑制するかを学べるかもしれません。

 

覚醒レベル 子どもたちの覚醒度が自傷行為と関連があることがしばしば指摘されています。研究者によると自傷行為によって覚醒レベルが上昇または低下するということです。覚醒レベルの低下を支持する学説は、覚醒のレベルが低いとき、レベルを上昇させるために自傷行為を行うと論議しています。(Edelson, 1984; Baumeister & Rollings, 1976) この場合、自傷行為は自己刺激の究極の方法と考えられます。一方、覚醒レベルの上昇を支持する学説は、覚醒のレベルが高すぎるとき(緊張、不安など)、レベルを低下させるために自傷行為を行うと論議しています。つまり、 緊張や不安から解放される方法として 自傷行為を行うわけです。高い覚醒レベルは体内、または生理学的な欠陥、および/または過度の環境の刺激による結果である可能性があります。覚醒度が減少することは正の強化となるので、覚醒レベルをあげる刺激が環境にあるとき、自傷行為がさらに増加する可能性があります。(Romanczyk, 1986)

 

何を見るべきか 覚醒レベルが低くて自傷行為が起こる場合は、子どもが退屈していたり、自己刺激的な行動に従事していないときに起こります。覚醒レベルが高すぎて起こる場合は、音がうるさかったり、光が明るすぎたりする部屋にいるなど覚醒度を引き上げるような状況で観察されます。

 

介入法 覚醒度が低い場合、行動レベルを上昇させることが役立ちます。運動のプログラム(静止した自転車を漕ぐなど)などを行うのもいいでしょう。覚醒度が過度に高い場合、通常自傷行為が起きる前にステップを踏んで、覚醒度を低下させることが大切です。これにはリラクセーションのテクニックを使用するCautela & Groden, 1978)、強いプレッシャーを与える(Edelson et al. 1998),前庭を刺激する(King, 1991),および/または刺激が強い環境から子どもを遠ざけるなどがあります。運動を行うことも覚醒レベルを低下させるのに役立つと思われます。

 

痛み 頭打ちを行うもうひとつの理由は中耳炎や偏頭痛からくる痛みをやわらげるためかもしれません。(de Lissovoy, 1963; Gualtieri, 1989) 酸逆流やガスといった胃腸の問題が自傷行為と関係があるという発見も増えています。また、自閉症の人の中には赤ん坊の泣き声や掃除機の音が痛みを生じることがあると報告する人もいます。こういう例のすべてにおいて自傷行為はベーターエンドルフィンを放出し、これが痛みを消す働きをします。一方、これらの人たちは痛みの「開閉調節操作」をしているのかもしれません。体の一部を刺激することで(この場合は自分自身を傷つける行為)体の別の場所にある痛みを減少、または消去できるからです。

 

何を見るべきか 自傷行為は不定期に起こるかもしれません。自傷行為を起こす日に病気だったり痛みがあったりする兆候を示す事もあります。偏頭痛を持つ家系かどうか確認する必要があります。可能なら、耳の診断、体温の確認を行い中耳炎を起こしているかどうか調べてもらうといいでしょう。

 

介入法 多くの子どもたちにとって乳製品の消費が中耳炎に関係があるようです。食べものの中に偏頭痛の原因があるかもしれません。また、マグネシウムの欠乏が音に対する過敏性を増加させると考えられています。マグネシムのサプリメントは安全ですし、音感過敏を減少できる可能性もあります。一日の投与量は体重10パウンドにつき3、4ミリグラムほどが適当です。聴覚統合訓練で音感過敏が減少した例もあります。(Rimland & Edelson, 1994)

 

感覚統合

 

過度に体をこすったり掻いたりすることは自己刺激の究極の方法かもしれません。体の刺激のレベルが正常でないと感じており、その結果、刺激を求め、および/または覚醒レベルを上げるために皮膚を傷つけるというわけです。(Edelson, 1984)

 

何を見るべきか 痛みや触覚の感覚が非常に鈍い人が起こすようです。 何かに従事していて忙しい(遊んだり、あるタスクに従事しているときなど)ときは身体から注意がそれるため自傷行為が減少します。

 

介入法 過度にこすったり掻きむしったりする部分に安全で、物理的な刺激を与えることが薦められます。バイブレーターでマッサージする、刺激を与える物で肌を(調理されていない豆やマカロニなど)こする、肌にブラシをかける、などの方法があります。また自傷行為を行う場所に局所麻酔を施すこともこの行為を減らすのに効果があることがわかっています。

 

欲求不満

両親たちはよく、子どもの自傷行為が欲求不満の結果として起こされる行為であると報告してきます。これはDollardらによって提唱された古くからある欲求不満攻撃仮説(Dollard and his colleagues (1939))と一貫しています。よく耳にするシナリオは、コミュニケーションスキルが低い人が言われたことが理解できない(受容的なコミュニケーションの能力が低い)、言った事や要求したことを保護者が理解しない、あるいはコミュニケーションのスキルに問題のない子どもでも欲しいものが手に入れられないとフラストレーションを起こします。これらの原因については次のセクションでより詳しく話します。

 

社会的な要因

コミュニケーション

コミュニケーションの問題はしばしば自傷行為と関連づけられています。受容言語、表出言語のスキルが低いと欲求不満を引き起こし、自傷行為に発展する可能性があります。

 

何を見るべきか 子どもが受容言語のレベルが低いとコミュニケーションが問題になる可能性があります。誰かが何かを言った後に自傷行為が起こります。また、表出言語のスキルが低いとジェスチャーなどで子どもがコミュニケーションをとろうとし、保護者が理解しなかったり適切に対応しなかった後に自傷行為が起こります。

 

介入法 表出言語に関しては、機能的コミュニケーションスキル(Dyer & Larsson, 1997)を教わるといいでしょう。受容的なコミュニケーションスキルに関しては、子どもが慢性的に体の調子が悪いため(頻繁な頭痛、吐き気など)言われたことに注意を向けられない可能性があります。特定の食べ物に対する過敏性が理由かもしれません。聴覚統合訓練法(AIT)は長期記憶から情報をうまく引き出せるようにするので、その結果受容言語を改善させる効果があることが証明されています。 (Edelson et al., 1999)

 

社会的な注目(注意)

自傷行為と社会性の関係性に関して多くの調査が行われています。ロヴァースたちは社会性における結果を操作することで自傷行為の頻度をコントロールすることに成功しました。(Lovaas et al., 1965; Lovaas & Simmons, 1969) 基本的には正の注目は自傷行為の頻度を増加させ(正の強化)、無視(消去)は自傷行為の頻度を減らすことができます。 

 

何を見るべきか 子どもが自傷行為を起こすときの様子を追い、保護者が子どもにどう接するかを観察します。正の注目(何がほしいの、と聞くなど)や負の注目(やめなさい、と言う)を与えているかもしれません。子どもが負のコメントも良く解釈する可能性があることを忘れないでください。その結果、その行為は強化されてしまうかもしれません。

 

介入法 もし、子どもが自傷行為の後注目を得る傾向があり、特にその注目が正のものである場合、保護者は最大の努力をして行為を無視すべきでしょう。もし、その子どもが自分を傷つけるため無視が不可能な場合、保護者はその子どもとの接触を最小限にし、なるべく顔に表情を表さない(行為を認めることも認めないこともしない)ようにするといいでしょう。

 

一貫性が大変大切です。間欠的に強化(注目)を受けている場合、行為は続きます。実際、間欠的に強化されるとその行為はさらに強くなり、消去しにくくなります。これらの子どもたちは注目を得ようとしています。このことは正常なことなので注目は受けるべきですが、それが自傷行為を伴うようではいけません。たとえば、保護者は子どもが自傷行為に従事していないときに注目を与えるようにします(10分間自傷行為をしなければ正の注目を与えるなど)。注目を与えるときに使用できる多くの分化の対策やスケジュールがあります(DRO -他行為の分化強化など)。

 

欲しい物を手に入れる

自傷行為を行うもう1つの理由は欲しい物を手に入れたり、したいことをしようとするためです。(Durand 1986; Durand & Cremmins, 1988) たとえば、何かを要求し、それが手に入らないとき自傷行為に従事します。また、時折自傷行為を行うことで欲しい物が手に入ったりやりたいことができたりすると行為が強化される可能性があります。Maisto et al. (1978)による調査は「何かが欲しい」という理由で自傷行為に従事する患者が33%いるという報告をしています。

 

何を見るべきか 自傷行為は通常何かを要求し、手に入らないときに起こります。その子どもは時折自傷行為に従事しているとき、または行為のすぐ後に欲しいものを手に入れます。

 

介入法 この場合、保護者は子どもが自傷行為を行っている間、またはその後に欲しいものを与えてはいけません。時折、欲しいものを手に入れることができると行為が継続されるため一貫性が大切です(前のセクションの間欠的な強化のところを見てください)。子どもが欲しいものをリクエストすることが許され、それがコントロールされ、システマティックで攻撃的ではない方法(一日の特定の時間にオプションが与えられるなど)で行われるよう行動プログラムを作ることも可能です。

 

回避/逃避

「嫌悪するような」な社会的な交流から避けたり逃げたりするために自傷行為に従事する子どもがいます。(Carr et al., 1976; Edelson et al., 1983) 社会的な交流の直前に自傷行為を行ってその交流から逃避しようとしたり、また、既に始まっている社会的な交流から逃避しようと(終わりにしたり)するために自傷行為を行う子どももいます。たとえば、保護者が子どもに何かするように頼みます(公園から帰るなど)。子どもが指示に従いたくなくて自傷行為をすることもあります。その結果、保護者は最初の要求をやめたり忘れたりします。そして保護者の注意がその行為を止めることに向けられるというわけです。

 

何を見るべきか 「回避」の場合、誰かが部屋に入ってきたり子どもに近づいてきたりしたときに自傷行為が始まります。「逃避」の場合は社会的な交流をしている間に自傷行為を始めます。保護者の要求(または命令)は自傷行為が始まると取り下げられられることが多いです。

 

介入 この状況で大切なのは保護者が子どもに対する要求や命令を「やり抜く」ことです。子どもが自傷行為を始めてもその行為の間保護者は要求をし続けます。あるいは保護者はいったん自傷行為を止めることに注意を向けてもいいですが、その後もう一度要求を出し、子どもに必ず従わせます。

 

結びの言葉

子どもが自傷行為に従事する理由は様々であることを理解することが大切です。 Edelson et al. (1983) は同じ子どもが3種類の異なる自傷行為を行っているのを観察しています。子どもは5時間観察され、自傷行為の前と後に何がおこったかが記録されました。子どもはひざに頭を打ち、注意を得ました。また、スタッフが何かをするよう要求したあとおなかをつまみました。そして子どもが何かを要求してそれを得られなかったとき手首を噛みました。

 

また自傷行為の1つの形が1つ以上の機能を持つことも可能です。たとえば、要求を伝えられず、その上欲しいものも得られないときに手首を噛む行為に従事する可能性もあります。

 

機能分析を行っても自傷行為の根本的な理由は明らかにならない場合もあります。観察に基づいたデータにより、その行為の考えられる理由を最もあり得そうなものからそうでないものまで関連性の高い順に並べることです。これは複数の介入法を施す順番を決定するのに役立ちます。

 

嫌悪療法(罰など)は子どもが自傷行為を抑制する訓練、行為を減少、消去させることに効果があるという例があります。もし、自傷行為がひどく、様々な方法を試みてもうまく減らすことができなければ、自傷行為を止めるのに嫌悪療法を使用することを考慮してもいいかもしれません。視覚的にさえぎること(顔の前に布や白い紙などを置くことなど)も自傷行為や攻撃的な行為などのひどい行為を減らすのに効果があることがわかっています。(Jones et al. 1991) 嫌悪刺激の別の形の例は、レモンジュースを口に吹きかける、顔に霧吹きで水をかける、さかさまに体を反らせる、また緩やかな電気ショックを与える場合もあります。嫌悪刺激を用いるときは大変な注意が必要です。たとえば、対応が違わないよう、場所や世話をする人が異なっても行為が一貫していることが大切です。また万が一の場合を考え、虐待から子どもを保護するため内蔵安全装置を用いることもできます。

 

子どもの行動を注意深く観察することにより、適切な介入法を正しく推測することができるでしょう。この方法は実際に試行錯誤を繰り返すよりもはるかにいい方法です。最後になりますが、自傷行為を理解し、対処するため明るい見通しを持つことが大切です。通常、行動は、自傷行為でさえ、ほとんどの場合コントロールすることが可能なのです。