コミュニケーションができる、ということは、誰かとつながる、関係が維持できる、ということだけではありません。誰かとのやりとり、会話、つながりの持てる経験を通して、自分らしさ、後の人格、自分はこれでいい、という「自己概念」「自己効力感」などに近い、いわゆる SELF 自分自身を育てているのです。
コミ力©︎セミナー設定の目的は...
「お友達と仲良くしたい様子だけれど、どうしたら良いかわからないようだ」など、人とのコミュニケーションがうまくいかないお子さんを、ご両親がご家庭で支援するための基礎知識をお伝えし、取り組みのきっかけを作る zoom利用オンラインのペアレントセミナーがやりたかったのです。
「コミ力©︎」:コミット&コミュ二ケーション, 人とつながる・関わりとなるコミュニケーション力のことです。
人と関わる、いわゆるコミュニケーションの力は、「ソーシャルスキル」と呼ばれ、ロールプレイなどで教えるプログラムもありますね。大人とならうまくやれるけど、お友達とはなかなか。。というお子さんもよくいらっしゃる気がします。
同年代のお友達との関わりは、あっという間にパパパパン、と進んでしまって、待ったなし!一つ目の難しさはここですね。
難しさ① コミュニケーションは瞬時に起こり、過ぎ去っていくから
本当に0.1秒以下のタイミング「応え」てますよね、言葉だけでなく顔の表情、姿勢でも。
あっという間に、同年代の子供たちの関心も移り変わっていきます。相手がゆっくり待って聞いてくれる相手ばかりなわけもなく、大変です。
そして、人とつながるということは相手次第ということ。相手によって、また、状況によって「どう応える」か正解は皆違ってきます。これが二つ目。
難しさ② どう応えるのが良いのか、テストじゃないから正解がないこと
決まったやり取りばかりではなく、その場で目の前の起こっていることや相手の様子によってどう応えるのが良いのか、正解はありません。正解のないことを教えることはできないですよね。
また、「答える」ことがコミュニケーションとは限りません。「応える」の方がふさわしいと思います。
よくあるお母さんからのお悩みは「やりとりが1往復以上続かない」ですが、日々、質問が多くなっていないでしょうか。。。
質問すれば答えておしまいです。1往復でおしまい、当然です。
コミュニケーションは「質問」に「回答」することでもありません。
電子辞書とかアレクサとか、AIを育てようとしているわけではないはず。
「そういう時はこう判断してこう言うのよ」と教えられればできる、ならば困りません。
難しさ③:感じ、考えている「自分」がないと「応える」対等な相手になれないから
必要なのは「前こんなことした時、こんな気持ちだったなあ」のように記憶(エピソード記憶と言います)を持っていて、感じ考えて相手(の言葉だけでなく存在)を受け入れて、応える「人間」。うまく受け取れなくて応えないとしてもそれは「人間」だから。調子があんまりよくなかったり、応えたい気分や体調じゃないことだってありますよね!
本来、自由なのではないかと思うんです、何て応えようと、応えまいと。
ただ、その応えたり応えなかったり、応えてもらえなかったりする色々な経験の中で育つものがある、ということ。
一緒に帰るお友達が他の人はいるんだな、と気づいて、なんで自分にはいないんだろう、って思うようになった、それは次のステップにもうつながっているんです。
実際、幼稚園や保育園・小学校など、保護者がそばにいない、その場で、予測不能な方向へ展開していくコミュニケーションの中でどうしたらいいか、考えてあげるのは不可能ではないかなあ。。
人とのコミュニケーションについて「言い方を教える」よりも、覚えておいてほしいのは
相手も自分も、気持ちや意志のある存在だということ。
その表情に気づいたり気持ちを想像したり、前はこんなこと言っていたなあ、と以前の経験から考えたり… これまでの成長の過程を知っているお母さんだからこそできる、お子さんの内側の気づきや育ちをズームアップ、注目して、お子さんの方の「気づく力」その次に「考える力」を伸ばしてあげる貴重なチャンスがそこに転がっています。代わりに考えてあげちゃったら成長のチャンスを奪ってしまってるかもしれないです。
前提は「三つ子の魂百まで」。魂の経験していることを尊重し、「気づき考える存在」であるお子さんを認めてあげよう、というところにあります。
まだ発話が少ないお子さんでも、コミュニケーションの基礎となる部分をしっかり育ててあげることが必要です。
わかっていても、言葉にするところまでのどこかにエラーが起こっていてうまく言葉にできないだけかもしれないという可能性をお忘れなく。実は覚えているかもしれない、わかってるかもしれない、直ぐには応えられてないだけで…
このコミュニケーションを育てる過程で、まだよく外へ見えてきていないお子さんの「自分」はどこにあるのかな?ちょっと隠れてるけどあると思って探しながら進みましょう。
そのお子さんの本来の姿、自分らしさ、人格形成につながる部分を経験を介して育ててあげることになるからです。
だれかとのやりとりを経験する中で、気持ちがつながったり、うれしかったり、相手の感じ方と自分が違うことに気付いて、違ってもいいんだ、と思える、など…
こうした、無数の「ほかのだれか」とのやりとりを介して、自分自身、SELFが形成されます。そして私、僕ってこういう人間なんだ、これでいいんだ、自分を認められる、客観的に自分を見ることができるようになります。
「ほかの誰か」がいないと「自分」が、できてこないということです。
この過程は、習い事?のように療育やセラピーで誰か他の大人がすること、というより、ご家庭で保護者だからこそ、少しずつ丁寧にマイペースで、じっくりと付き合える、見守ってあげられる、大事な過程だと当カウンセリングルームは考えています。
「家庭で保護者が取り組むからうまくいく療育」です。
いずれはお子さんがその場や相手、相手との関係により、やり取りして気持ちがつながる経験ができるよう、
そこまでに周囲の大人ができることを5回に分けて概念説明・体験しながら進めます。
その後実際にご家庭でお子さんと、今はこんなことするとどうなるだろう?と試しながら次の回へと進みます。
少人数のセミナーですので、途中ご質問等の時間も取れます(各回定員5名)
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